ベトナムの
ドクさんとの交流から生まれた歌

内本 年昭氏(河内長野市立東中学校教頭)

 ベトナム コンソン島で絵画指導をする内本氏河内長野市の学校で働き始めて四半世紀になりました。私が国際理解教育を本格的に始めたのは2007年からになります。当時、ジャカルタ日本人学校から帰国して美加の台中学校に勤務していた私は、インドネシアと日本をオンラインで結んで異文化理解教育を行っていました。
 私の人生に転機が訪れたのは2009年の夏でした。ベトナムのホーチミン市を訪問し、戦争証跡博物館でベトナム戦争の惨状を目にしてショックを受けた私は、ベトナムの枯葉剤被害を題材とした平和教育をしようと決意しました。その思いを語る中、ある知人から結合双生児“ベトちゃんドクちゃん”で有名なグエン・ドクさんを紹介されました。
 分離手術成功25周年記念式典当時のドクさんは28才。父親になることを契機に、自立した一人の人間としてボランティア活動や平和活動を盛んにしていこうという思いを持っていました。平和についての講演授業の提案にも共感してくれたので、生徒たちとのオンライン授業が実施できました。ある生徒が「枯葉剤をまいたアメリカを憎む気持ちはありますか?」と質問すると、ドクさんは「その問題は政治にも関係するので答えにくいですが…」と前置きをした後、「アメリカだけでなく、全世界に言いたいことは、戦争をやめてほしいということです。」と答えました。
 この授業後、ある生徒が「ドクさんは、アメリカを憎むのではなく、許しているところがかっこいい」という感想を書きました。ハッとしました。私には、アメリカとベトナムの友好的な関係に配慮した反戦メッセージとしかとらえられていませんでした。しかし、この生徒は、「ドクさんの心の広さ」や「憎しみではなく、許すことが大切」という美徳を、この授業を通じて感じ取っていたのです。
 私は恥ずかしくなりましたが、こうやって生徒から教えてもらったことを忘れないようにしようと思い、ドクさんと共同作詞した「いつも僕の中に」という歌に盛り込みました。作曲家の石若雅弥さんが曲をつけてくださり、2011年にドクさんが美加の台中学校を訪問した際には、生徒たちが三部合唱曲として披露しました。この歌に感動したドクさんは、ベトナムの有名歌手に「いつも僕の中に」のベトナム語版制作を依頼しました。そして2012年、「Vì Một Thế Giới Đẹp Tươi(美しい世界のため)」というベトナム語の歌が完成し、「日本人がベトナムの枯葉剤被害者を思ってつくられた曲」として現地で紹介されました。
 2017年8月、ホーチミン戦争証跡博物館にて、平和の壁画制作アメリカ軍がベトナムに初めて枯葉剤散布をしたのは1961年8月10日と言われており、現在、ベトナムでは8月10日を「枯葉剤作戦を記憶する日」と定めています。そして、この日の前後にはベトナムの各地で枯葉剤被害者と思われる人々を支援する催しが行われるのですが、「Vì Một Thế Giới Đẹp Tươi(美しい世界のため)」が歌われる機会も増えてきているということです。河内長野市の学校現場から生まれた歌が、ベトナムで平和を願う日に歌われていること、知っていただけたらありがたいです。
 ドクさんは、2011年と2014年に河内長野市を訪れました。現在はコロナ禍のため、ベトナムと日本の往来が容易ではありませんが、状況が許せばまた招聘して、河内長野のこどもたちと交流してもらいたいと思っています。




びょうき、しゅっさん、こそだて、がっこう、てつづき



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